不特定多数が参加する無線LANの設計 | ライタス株式会社
弊社では、八王子コワーキングスペース8beatのインターネット回線・無線LANの整備を行いました。
設計に際しては、一般のSOHO環境とは異なる条件がありますので、インターネットを使うためのノウハウについて、少しだけ解説します。
インターネット回線側については、一般の光回線を利用いただければ、だいたい問題ないと思います。もちろん、法人向けのインターネット回線を利用すれば安定したインターネットがご利用いただけますが、費用面で難しいところもありますので、検討いただければと思います。
光回線サービスは、NTTのFlet's光を利用することが多いですが、他の電力系インターネットでも、回線速度が1Gbpsを謳っているものであれば、問題ないかと思います。
光回線を引けない提供エリア外の可能性もありますが、その場合は代替手段を検討します。電力会社系列やケーブルテレビなどのインターネット回線を使うこともありえます。その際は、回線速度や契約条項に注意して、できれば近隣に使っている人がいないか確認してみるのもいいと思います。
テナントビルや集合住宅の場合、光ケーブルが引けるかどうかは、オーナーに確認する必要があります。縦配管(EPS:electric pipe space)があるビルは大丈夫だと思いますが、古いビルになると、配線に苦戦することがありますので、回線業者の指示にしたがって立会等を行ってください。
その他、オプションや回線グレードなど、多数あります。必要に応じて選択する必要がありますが、各々の事情によって導入するものは異なるので、ここでは割愛します。
無線LANの選定では、いくつかの選定ポイントがあります。
最初に決めるのは、「ルーター」か「アクセスポイント」かを選びます。
どちらでもインターネットにはつながりますが、以下の様な違いがあります。
ルーター : 社内と社外を分けるといったことができる
アクセスポイント:無線LAN用のハブ的な位置づけ ルーティング制御はできない
社内と社外にネットワークを開放する予定であれば、無線LANルーターをおすすめしますが、社内のみや、社外のみに用途を限定するなら、アクセスポイントでもよいです。(無線LANルーターにアクセスポイントモードを搭載しているものもあります)
無線LANでのアクセス速度はアクセスポイントのほうが早いですが、ルーターの機能を回線側もしくは自分で用意する必要があるので、状況に応じて選択します。
次に、同時利用人数を計算します。事務所の規模によって、人数は異なると思いますが、家庭用無線LANルーターは、4~6人程度の利用を見込んでいます。それ以上の人数でもさばけるのですが、通信が遅くなったり、無線LANルーターが停止してしまったりと、利用に不便が生じる可能性があります。コワーキングスペースでは、不特定多数の人が同時利用は20人から30人を想定する計算をしました。そうなると、家庭用無線LANルーターでは問題が出る可能性があるため、企業向けの無線LANルーターかアクセスポイントを選択することになります。
先の条件に合わせて、機種を選定していきます。
メーカーによっては、接続する人数やデバイス数を明記しているものもありますが、目安なのでそれ以上接続できないわけではありません。
家庭向けルーターは、情報が多いので、10名前後から50名程度までのルーターやアクセスポイントについて、まとめてみます。
ここに記載していない機種も多数ありますが、量販店では教えてもらえない情報だと思いますので、必要に応じてご検討ください。
※弊社でもお取り扱いしております。
使い方や状況にもよりますが、チェックポイントとして、以下のものがあります。
・設置位置
一般に無線LAN機器は天井に配置するとよいと言われています。吊り下げ器具が付いているモデルもあります。直線的に見える位置に置ければ最高ですが、なかなか入り組んでいる間取りだとそうは行きませんので、アクセスしにくい状況が発生しているようであれば、中継器の導入を検討します。
・アンテナの向き
無線LAN機器には、電波の方向があります。全指向性か単一指向性かの確認をしておくことをおすすめします。中には複数のアンテナを持つものもありますので、用途に応じて使用します。体感では、指向性アンテナの方が電波強度を確保できるので良いと感じています。
・セパレータ機能
不特定多数にアクセスされるアクセスポイントは、セパレータ機能を搭載することを検討します。
セパレータ機能とは、無線LANに参加しているクライアント間の通信をさせない機構のことです。
・PoE給電に対応しているか
配電が難しい場合は、PoE(Power over Ethernet)の利用を検討します。
PoEに対応するためには、対応しているHubを用意します。
・電波状況の混み具合
最近は、携帯電話プロバイダや店舗で使われるWi-Fiが増えてしまい、2.4GHz帯では帯域の食い合いが発生している場所もあります。
できれば5GHz帯を使いたいところですが、機器との組み合わせの問題もありますので、少しでも電波強度を上げるか、チャンネルをずらす検討をします。(自動で調整する機能が付いているものもあります)
Androidでは、Wifi Analyzerというソフトがあるので、こちらで電波の状態を確認することができます。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.farproc.wifi.analyzer&hl=ja
以上、いかがでしたでしょうか。
無線LANは空気のような見えないインフラですので、意外と見過ごしがちですが、奥が深い領域でもあります。
気持ちの良いインターネットをお楽しみいただくための重要な部分ですので、きっちりとしておきたいですね。
設計に際しては、一般のSOHO環境とは異なる条件がありますので、インターネットを使うためのノウハウについて、少しだけ解説します。
インターネット回線の選定
インターネット回線側については、一般の光回線を利用いただければ、だいたい問題ないと思います。もちろん、法人向けのインターネット回線を利用すれば安定したインターネットがご利用いただけますが、費用面で難しいところもありますので、検討いただければと思います。
光回線サービスは、NTTのFlet's光を利用することが多いですが、他の電力系インターネットでも、回線速度が1Gbpsを謳っているものであれば、問題ないかと思います。
光回線を引けない提供エリア外の可能性もありますが、その場合は代替手段を検討します。電力会社系列やケーブルテレビなどのインターネット回線を使うこともありえます。その際は、回線速度や契約条項に注意して、できれば近隣に使っている人がいないか確認してみるのもいいと思います。
テナントビルや集合住宅の場合、光ケーブルが引けるかどうかは、オーナーに確認する必要があります。縦配管(EPS:electric pipe space)があるビルは大丈夫だと思いますが、古いビルになると、配線に苦戦することがありますので、回線業者の指示にしたがって立会等を行ってください。
その他、オプションや回線グレードなど、多数あります。必要に応じて選択する必要がありますが、各々の事情によって導入するものは異なるので、ここでは割愛します。
無線LAN導入の条件の整理
無線LANの選定では、いくつかの選定ポイントがあります。
最初に決めるのは、「ルーター」か「アクセスポイント」かを選びます。
どちらでもインターネットにはつながりますが、以下の様な違いがあります。
ルーター : 社内と社外を分けるといったことができる
アクセスポイント:無線LAN用のハブ的な位置づけ ルーティング制御はできない
社内と社外にネットワークを開放する予定であれば、無線LANルーターをおすすめしますが、社内のみや、社外のみに用途を限定するなら、アクセスポイントでもよいです。(無線LANルーターにアクセスポイントモードを搭載しているものもあります)
無線LANでのアクセス速度はアクセスポイントのほうが早いですが、ルーターの機能を回線側もしくは自分で用意する必要があるので、状況に応じて選択します。
次に、同時利用人数を計算します。事務所の規模によって、人数は異なると思いますが、家庭用無線LANルーターは、4~6人程度の利用を見込んでいます。それ以上の人数でもさばけるのですが、通信が遅くなったり、無線LANルーターが停止してしまったりと、利用に不便が生じる可能性があります。コワーキングスペースでは、不特定多数の人が同時利用は20人から30人を想定する計算をしました。そうなると、家庭用無線LANルーターでは問題が出る可能性があるため、企業向けの無線LANルーターかアクセスポイントを選択することになります。
無線LANの機種選定
先の条件に合わせて、機種を選定していきます。
メーカーによっては、接続する人数やデバイス数を明記しているものもありますが、目安なのでそれ以上接続できないわけではありません。
家庭向けルーターは、情報が多いので、10名前後から50名程度までのルーターやアクセスポイントについて、まとめてみます。
型番 | 提供会社 | コメント |
WLX302 | ヤマハ | ピアノやバイク、テニスラケットと、様々に展開しているヤマハは、 無線LAN向けソリューションも人気です。 このアクセスポイントは、電波強度の測定機能がついており、 設定もWebGUIで行うことができるので、 中級者から上級者まで使えるものとなっています。 50台まで対応できるので、一部屋はこの機器で十分対応できるものと思われます。 |
WAPM-1166D | バッファロー | PCサプライ系の大手ですが、無線LAN業界でもリーディングカンパニーとして君臨しています。 法人向けプランでは、保証が手厚かったり、家庭向けルーターで培った使いやすさがあり、 十分に戦える機器になっています。 同時接続は100台までとなっています。 |
AT-TQ2450 | アライドテレシス | ネットワーク業界では有名なアライドテレシス。 無線LANの世界ではあまり名前は聞きませんが、上級者向きだと思われます。 同時接続数は30台が推奨とのことです。 |
AIR-SAP1602E-Q-K9 | Cisco | ネットワーク界の重鎮的な立ち位置のCisco この業界にいて、この会社を知らないのはモグリといっても過言ではありません。 設定はコマンドが使えると捗りますが、初心者にはオススメできません。 メリットは、技術者が世界的に見て多いということでしょうか。 同時接続数に関する情報は見当たりませんでした。 |
ここに記載していない機種も多数ありますが、量販店では教えてもらえない情報だと思いますので、必要に応じてご検討ください。
※弊社でもお取り扱いしております。
選定や設置に関する注意点
使い方や状況にもよりますが、チェックポイントとして、以下のものがあります。
・設置位置
一般に無線LAN機器は天井に配置するとよいと言われています。吊り下げ器具が付いているモデルもあります。直線的に見える位置に置ければ最高ですが、なかなか入り組んでいる間取りだとそうは行きませんので、アクセスしにくい状況が発生しているようであれば、中継器の導入を検討します。
・アンテナの向き
無線LAN機器には、電波の方向があります。全指向性か単一指向性かの確認をしておくことをおすすめします。中には複数のアンテナを持つものもありますので、用途に応じて使用します。体感では、指向性アンテナの方が電波強度を確保できるので良いと感じています。
・セパレータ機能
不特定多数にアクセスされるアクセスポイントは、セパレータ機能を搭載することを検討します。
セパレータ機能とは、無線LANに参加しているクライアント間の通信をさせない機構のことです。
・PoE給電に対応しているか
配電が難しい場合は、PoE(Power over Ethernet)の利用を検討します。
PoEに対応するためには、対応しているHubを用意します。
・電波状況の混み具合
最近は、携帯電話プロバイダや店舗で使われるWi-Fiが増えてしまい、2.4GHz帯では帯域の食い合いが発生している場所もあります。
できれば5GHz帯を使いたいところですが、機器との組み合わせの問題もありますので、少しでも電波強度を上げるか、チャンネルをずらす検討をします。(自動で調整する機能が付いているものもあります)
Androidでは、Wifi Analyzerというソフトがあるので、こちらで電波の状態を確認することができます。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.farproc.wifi.analyzer&hl=ja
以上、いかがでしたでしょうか。
無線LANは空気のような見えないインフラですので、意外と見過ごしがちですが、奥が深い領域でもあります。
気持ちの良いインターネットをお楽しみいただくための重要な部分ですので、きっちりとしておきたいですね。
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